クラウド vs. オンプレミスの脆弱性管理:ハイブリッドの重要性

By 清水 孝郎 - MAY 15, 2025

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本文の内容は、2025年5月8日に Matt Kim が投稿したブログ(https://sysdig.com/blog/cloud-vs-on-prem-vulnerability-management/)を元に日本語に翻訳・再構成した内容となっております。

オンプレミス環境とクラウド環境では、インフラストラクチャー、規模、運用モデルの違いにより、脆弱性管理には異なるアプローチが必要です。ハイブリッドアーキテクチャーを採用する組織が増えるにつれ、セキュリティチームはこれらの環境が脆弱性の発見、優先順位付け、そして修復にどのような影響を与えるかを理解する必要があります。クラウドネイティブテクノロジーの台頭にもかかわらず、オンプレミス環境は、特に規制の厳しい業界やレガシー環境において、依然として重要な役割を果たしています。

セキュリティチームは現在、従来型データセンター、パブリッククラウド、そしてその間のあらゆる環境にまたがるワークロードの保護を担っています。脆弱性管理においては、このハイブリッドな現実に鑑み、不要な複雑さを増すことなく、さまざまな環境に適応できる柔軟なアプローチが求められています。

オンプレミスの脆弱性管理:なぜ依然として重要なのか

クラウドへの急速な移行にもかかわらず、多くの組織は依然としてオンプレミスのインフラストラクチャーに大きく依存しています。これは、厳格なコンプライアンス要件、移行が困難なレガシーアプリケーションの存在、あるいは高セキュリティ環境におけるエアギャップシステムの必要性などが原因と考えられます。

オンプレミスのインフラストラクチャーは、高度な制御とカスタマイズを提供します。組織は構成を直接管理し、厳格なアクセス制御を適用し、機密データを厳重に管理された環境内に保管できます。これは、規制やデータレジデンシー要件があり、ワークロードをパブリッククラウド環境から分離する必要がある業界では特に重要です。オンプレミスは、最新のクラウドネイティブツールやアーキテクチャーと互換性のないレガシーシステムにも適している傾向があります。

他の環境と同様に、オンプレミスのインフラストラクチャーでも、未修正のセキュリティ欠陥に起因する不正アクセス、データ侵害、サービス中断などの問題を防ぐために脆弱性管理が必要です。しかし、こうした環境における脆弱性管理には、特有の課題が伴う場合があります。オンプレミスの脆弱性管理ツールの維持には、インフラストラクチャーの管理、アップデートの適用、そして断片化しやすい環境全体でのスキャンの確実な実行など、多大な運用オーバーヘッドがかかることがよくあります。特に大規模または分散化された環境では、スケーリングも困難になる可能性があります。また、コンテナ化されたワークロードやKubernetesベースのワークロードをオンプレミスで導入する組織が増えるにつれ、従来の脆弱性管理ツールでは、これらの動的なコンポーネントを効果的に評価するために必要な可視性とコンテキストを提供できなくなる可能性があります。

クラウドネイティブワークロードが脆弱性管理をどのように変えるか

クラウドネイティブ・インフラストラクチャーは、アプリケーションのビルド、デプロイ、運用方法を変革しました。コンテナ、Kubernetes、そしてエフェメラル・クラウド・サービスを中核とするワークロードは、高度に動的かつ分散化され、短命化しています。こうした特性はスピードとスケーラビリティをもたらしますが、同時に脆弱性管理へのアプローチも変化させています。

クラウドネイティブ環境では、従来のスキャン手法では対応しきれないことがよくあります。リソースは数秒単位で増減し、新しいコードは1日に何度もデプロイされ、開発環境と本番環境の境界はますます曖昧になっています。そのため、脆弱性管理は継続的かつ自動化され、開発パイプラインに深く統合されている必要があります。脆弱性を発見するだけでなく、早期に特定し、状況に応じて優先順位を付け、本番環境に到達する前に対処することが重要です。

インフラストラクチャーのこうした変化は、クラウドネイティブの脆弱性管理が従来のアプローチとは大きく異なることを意味します。クラウドネイティブの脆弱性管理は、静的システムに対する定期的なスキャンに頼るのではなく、継続的な運用と完全なコンテキストを提供します。DevSecOpsワークフローに直接統合され、レジストリ内のコンテナイメージをスキャンし、デプロイ前にインフラストラクチャー・アズ・コード・テンプレートを評価します。ワークロードの実行後は、リアルタイムの可視性を提供し、ランタイムコンテキストを活用して、実際に露出している脆弱性を特定します。優先順位付けの改善に加え、クラウドネイティブのアプローチは、オーナーシップの帰属を支援し、問題を適切なチームに容易にルーティングできるようにします。また、自動修復ワークフローをサポートすることで、対応を迅速化し、手作業を最小限に抑えます。

ハイブリッド環境における脆弱性管理

完全にクラウドネイティブ、あるいは完全にオンプレミスである組織はごくわずかです。ほとんどの組織は、レガシーシステムと最新のクラウドワークロードが共存するハイブリッド環境で運用されています。こうした混在は、長期的なインフラストラクチャーの決定、コンプライアンス要件、あるいは移行の段階的なペースなどから生じることがよくあります。

ハイブリッドインフラストラクチャーは、セキュリティチームの業務の複雑さを増大させます。異なる環境に別々のツールとプロセスを適用すると、可視性の断片化、ポリシーの一貫性の欠如、対応時間の遅延につながる可能性があります。リスク評価がサイロ化された状態で行われると、脆弱性管理の拡張が困難になり、オンプレミス環境またはクラウド環境向けに構築された多くのツールは、もう一方の環境に効果的に拡張することが困難です。

ハイブリッド環境で効果を発揮するには、脆弱性管理ツールはクラウドとオンプレミスの両方のワークロードにわたって、一貫性のある統合的な可視性を提供する必要があります。ワークロードの実行場所を問わず、チームがリスクの優先順位付け、修復の効率化、ポリシーの均一な適用を行えるようにする必要があります。

まとめ

インフラストラクチャーの分散化と動的化が進むにつれ、脆弱性管理も適応していく必要があります。ワークロードがクラウド、オンプレミス、あるいはその中間の環境で実行されているかどうかに関わらず、セキュリティチームはリスクに対応していくために、一貫した可視性、適切な優先順位付け、そして効率的なワークフローを必要としています。

Sysdigは、このハイブリッドな現実に対応できるよう構築されています。クラウドネイティブ環境向けの、コンテキストに富んだ詳細な脆弱性管理とオンプレミス導入のサポートを統合することで、俊敏性と制御性のどちらかを選ばなくても済むようになります。単一のプラットフォームにより、チームはアプローチを統一し、盲点を減らし、アプリケーションライフサイクル全体にわたる対応を迅速化できます。

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