リスクからROIへ:セキュリティインサイトを経営層にとって価値あるものにする

By 清水 孝郎 - MARCH 10, 2025

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本文の内容は、2025年3月6日に Zain Ghani が投稿したブログ(https://sysdig.com/blog/from-risk-to-roi-making-security-insights-matter-to-business-leaders/)を元に日本語に翻訳・再構成した内容となっております。

今日のテクノロジーの世界では、セキュリティリーダーはしばしば大きなプレッシャーにさらされています。リソースが限られたチームには、増大するリスクを軽減し、複雑なインフラストラクチャーをナビゲートし、ベストプラクティスを実装することが求められ、同時に経営幹部にその価値を証明しなければなりません。未解決の脆弱性の数、平均修復時間 (MTTR)、コンプライアンス適用率などの指標は、日常業務には不可欠ですが、経営幹部とのコミュニケーションではうまく伝わらないことがよくあります。その結果、これらのチームの素晴らしい仕事は、リーダーシップレベルで共感を呼ぶビジネス成果ではなく、技術的な指標を使用して説明されるため、注目されないことがよくあります。

この記事では、技術的なソリューションをビジネス価値に結び付けることによって、チームがどのように成長し、有意義な変化を推進できるかについて説明します。

リソースの制限、抵抗、ツールの過剰負担への取り組み

セキュリティリーダーが直面する障害は非常に厳しく、特に小規模でリソースの限られたチームを率いる場合はなおさらです。さらに、技術的なリスクを管理するだけでなく、他のチームと効果的に協力する能力も極めて重要です。脆弱性のパッチ適用や設定変更といったセキュリティの優先事項は、DevOpsとの連携が不可欠ですが、彼らのワークフローや納期が必ずしもセキュリティのニーズに対応できるとは限りません。明確な指示がなければ、こうした優先事項の調整は継続的な課題となり、セキュリティが「推進力」ではなく「障害」として認識されることもあります。

また、全体的なセキュリティ体制を強化するための新しいツール導入も、他チームのプロセスへの影響を懸念する声から抵抗を受けることがあります。強力な協力体制がなければ、セキュリティ施策を前進させることは困難を極めます。

リソースの制約も、これらの課題をさらに深刻化させます。小規模なセキュリティチームは、脆弱性管理脅威検知クラウドセキュリティポスチャー管理(CSPM)など、多岐にわたる責任を担っています。日々の運用業務をこなしながら、セキュリティの優先事項を推進するには、大きな負担が伴います。

さらに、複数の分断されたツールが過剰なノイズを生み出し、意味のある実用的なインサイトを抽出することが困難になることもあります。断片的なアプローチでは、セキュリティチームが組織全体に対して自身の価値を効果的に示すことが難しくなります。こうした課題を解決するためには、業務を合理化し、関係者の調整を図り、セキュリティの重要性を経営層に明確に伝えることが求められます。

技術データをビジネスインサイトに変える

組織は、セキュリティデータの伝え方を簡素化することで、これらの課題を克服できます。技術的な詳細に重点を置くのではなく、セキュリティチームの取り組みがどのようにビジネス目標を支えているかを強調することが重要です。つまり、セキュリティの指標を、経営層が具体的な行動を取れるような明確で分かりやすいインサイトへと変換する必要があります。

その方法の一つとして、セキュリティの向上だけでなく、それがビジネスの成功に与える影響を示すレポートの作成が挙げられます。これらのレポートには、測定可能な成果、将来の目標、そして複雑なデータを視覚的に理解しやすくするグラフなどの要素を含めるべきです。リスクとメリットをビジネスの観点から伝えることで、セキュリティチームは他部門との連携を強化し、経営層の支持を得ることができるでしょう。

セキュリティのビジネス価値を示す

セキュリティチームは、ビジネスへの影響に焦点を当てることで、経営層に響くストーリーを構築できます。リスクの低減やコンプライアンスの向上を明確に示すレポートは、セキュリティが業務の効率化やイノベーションの促進に貢献していることを証明する手段となります。

また、ビジュアルストーリーテリングは、セキュリティデータを分かりやすく伝えるための重要な手法です。グラフ、比較データ、予測などを活用することで、セキュリティ施策の重要性を強調し、チームを戦略的な資産として位置づけることができます。このアプローチにより、セキュリティリーダーは継続的な投資の必要性をより効果的に訴え、組織の優先事項と強く連携させることが可能になります。

まとめ

セキュリティチームは、限られたリソースや経営層とのコミュニケーションギャップなど、多くの課題に直面しています。明確に価値を示す手段がなければ、経営層の支持を得ることは容易ではありません。

これらの障害を克服するためには、他部門との連携を強化し、ツールを簡素化し、データを活用したストーリーテリングを活用して、セキュリティ対策とビジネスの優先事項を結びつけることが重要です。これらの取り組みを通じて、組織はセキュリティをビジネス成功の重要な推進力として位置づけ、その価値があらゆるレベルで認識されるようにすることができます。