Kubernetesとは? 基本をわかりやすく解説

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Kubernetes(クバネティス)とは、コンテナ仮想化ソフトウェアの管理と自動化をおこなうためのソフトウェアのことです。コンテナオーケストレーションツールの1つであり、現在ではもっとも世界で普及しているコンテナ管理ツールといえます。

GCP(Google Cloud Platform)やAWS(Amazon Web Services)、Microsoft Azureなどのマルチクラウドプラットフォームが普及しているなか、環境を選ばずに利用できる共通基盤は非常に有用です。

この記事では、Kubernetesの基本として、概要や構造、特徴、必要とされる理由、導入時の注意点をわかりやすく解説します。

Kubernetesとは

Kubernetesは、オープンソースのコンテナオーケストレーターで、コンテナ化されたアプリケーションを自動的にデプロイ、スケール、管理することができます。読み方は「クバネティス」「クーべネティス」「クバネテス」などで、「kube(クーベ)」「K8s (ケーエイツ)」と略されることもあります。語源は、操舵手やパイロットのことを意味するギリシャ語です。

Kubernetesは、コンテナオーケストレーションツールの1つです。コンテナオーケストレーションは、複数のコンテナを管理する技術をさします。コンテナのワークロードやサービス、ライフサイクル管理やデプロイメントなどのコンテナに関わる調整と管理の自動化技術を表しており、コンテナの管理に必要な、プロビジョニング、スケーリング、ロードバランスやネットワーキングなどの幅広い事柄が含められています。

2024年現在、Kubernetesはコンテナ化アプリケーションのデプロイと運用における事実上の標準になっています。

Kubernetesの構造

Kubernetesは、多数の異なるコンポーネントで構成されています。

Kubernetesには、複数のコンテナをホストするKubernetes Podがあり、さらに複数のPodがノードにホストされます。そして、ノードが集まったものがクラスターです。

Kubernetes ではクラスターを中心に機能が構築されています。その目的は、Kubernetes の中核として、複数のサーバーにデプロイされているアプリケーションを一度に管理するための、ほぼ自動化された信頼性の高い手段を提供することにあります。

関連ページ:Kubernetes のコンポーネント

また、コンピューティングとストレージのリソースを制御するため、リソースを以下のようなオブジェクトとして定義しています。

関連用語説明
Cluster(クラスター)リソースを管理する集合体、複数のNodeから構成される。
Node(ノード)Podをホストする物理マシンまたは仮想マシン
Pod(ポッド)コンテナの集合体。Nodeの中で動作し、コンテナを持っている。
コンテナを運用・管理する際にはPod単位でおこなうことが通常であり、
Kubernetesにデプロイする際にはPod単位で実施する
Deployment(デプロイ)Podを管理する方法を定義する。
Service外部やクラスタ内からのリクエストをPodに割り振るようなネットワーク定義のこと。
VolumePodで利用するストレージを定義する。
Namespaceリソースのパーティショニング機能を提供し、物理クラスターを仮想クラスター
に分割する。

Kubernetesを利用することでClusterの管理はもちろん、インフラ機能の共通化や共通オペレーションの環境提供、監視やオートスケール機能を利用することが可能になります。

※オートスケール機能:サーバー負荷の増減により、自動的にクラウドサーバーの台数を増減させる機能のこと。

関連ページ:最も安全な Kubernetes アーキテクチャを設計する方法

KubernetesとDockerの違い

KubernetesとDocker の違いは、ツールとしての性質にあります。

Dockerとは、Docker社が開発したコンテナ仮想化を用いてアプリケーションの開発や実行する環境を構築できるプラットフォームのことをさします。対して、Kubernetesは複数のコンテナを運用管理するオーケストレーションツールであり、実行場所と利用目的が異なります。

関連記事:2022年に向けたDockerコンテナの代替案

KubernetesDocker
実行場所クラスター単一ノード
利用目的コンテナの運用管理アプリケーションのコンテナ分離

関連ページ:Docker Scout でランタイムインサイトを使用して脆弱性に優先順位を付ける

Kubernetesが生まれた背景

Kubernetesを含むコンテナオーケストレーションツールが誕生した背景には、コンテナの採用が広がったことがあります。コンテナ化は、従来の物理サーバーや仮想化ソフトウェアとは異なる特徴を持つ手法です。

仮想化ができる前の時代におけるデプロイ(Traditional deployment)では物理サーバー上にアプリケーションを実行させていました。しかし、物理サーバー上でアプリケーションのリソース制限を設定する方法がなかったため、リソースの割り当て問題がありました。特定のアプリケーションが大量のリソースを使ってしまうと、他のアプリケーションのパフォーマンスが低下するという問題があったということです。解決方法としてはアプリケーションを別々の物理サーバーで動作させることが挙げられますが、複数の物理サーバーを維持管理するにはコストがかかることが問題になりました。

解決方法として仮想化を使ったデプロイ(Virtualized deployment)により仮想化が導入されました。1つの物理サーバー上で複数の仮想マシンを実行できるようになり、アプリケーションを仮想マシンごとに隔離することが可能になりました。しかし、仮想化ソフトウェアでは、1つの仮想環境の中にすべてのリソースを構築する必要があったため、異なるOS環境を使いたい場合には有効だったものの、開発現場ではOS周辺は同じ環境で良いことが多く、毎回環境を作るという手間がかかりました。

その後、コンテナを使ったデプロイ(Container deployment)が登場します。

コンテナとは、アプリケーションをコンテナと呼ばれる環境にパッケージ化し、コンテナエンジン上で動かす仮想化技術の1つです。仮想マシンと比べ、コンテナ内のOSはホストOSを共有するため、アプリケーションを高速かつ軽量に起動することができます。また、コンテナエンジンがインストールされた環境はどのような環境でも同じ動作をしますので、場所を選ばずにアプリケーションを稼働することができ、開発サイクルの高速化を見込めます。

コンテナの概念は仮想マシンに似ていますが、アプリケーション間でOSを共有できる特性を持っています。仮想化を使ったデプロイでは仮想マシンごとにOSを持っていましたが、コンテナ化することにより軽量化が成功しました。

コンテナ化により次のようなメリットがあります。

1つ目は、コンテナ環境は起動と破棄が高速でおこなえるため、高いスケーラビリティを持つ点です。クラウド上でコンテナ化しますので、サービス利用の集中する日中帯にはサーバー数やコンテナ数を増やし、利用が少ない夜間帯にはサーバー数を削減するといった運用が容易となり、コストの削減が見込めます。

2つ目は、コンテナ化によりアプリケーション自体のリソース消費量を減少し、同一基盤上に複数のアプリケーションを集約させることができる点です。コンテナ数が増えていくに従い、集約数が上がり、従来の非コンテナ環境と比較して高いコストメリットが得られるようになります。

しかし、コンテナはホストOSごとに独立した環境を構築するため、別ホストで運用する場合には管理が煩雑になるというデメリットがあります。そこで複数のホストでコンテナを管理・運用できるKubernetesが利用されることになりました。

関連ページ:コンテナとKubernetesのセキュリティ

Kubernetesの特徴

Kubernetesには次のような特徴があります。

● 拡張性が高い
● ポータビリティが高い
● アプリケーションのデプロイ自動化と管理ができる
● 障害に強い

拡張性が非常に高く、急激なトラフィックの変化にも柔軟に対応できます。アプリケーションの自動化されたデプロイと管理を可能にするための機能により、開発・運用担当者のアプリケーションの展開と管理の手間も省けます。

複数のクラウドプロバイダーとオンプレミス環境で動作するため、アプリケーションをどこでも実行可能です。これによりアプリケーションのポータビリティを高めることができます。

複数のノードにアプリケーションをデプロイできるため、障害が発生した場合でも他のコンテナに影響を及ぼしません。障害が発生したノード上のコンテナアプリケーションを自動的に再スケジュールすることが可能です。

関連ページ:クラウドネイティブを学ぼう

Kubernetesが必要とされる理由

Kubernetesが必要とされる理由は、コンテナ運用管理が楽になるためです。Dockerのようなコンテナプラットフォームだけでは実現できない機能をKubernetesが持っていることがもっとも重要な利点です。

WEB開発の現場ではGCP(Google Cloud Platform)やAWS(Amazon Web Services)、Microsoft Azureなどの複数のマルチクラウドプラットフォームを使用しているケースが多いのが現状です。そのなかでKubernetesは共通基盤の役割として活用できるため、世界中の企業にとって欠かせない存在になっています。

関連ページ:CSPM、CIEM、CWPP、CNAPP:クラウドセキュリティを取り巻く環境は?

また、DevOpsを実現するうえで強力なプラットフォームでもあります。DevOpsとはDevelopmentとOperationsを組み合わせた造語で、アプリケーションの開発担当と運用担当が連携して協力し開発を進める手法のことです。Kubernetesにはアプリケーションの開発と運用に必要とされる機能が多数搭載されているため、DevOpsとの親和性が非常に高くなっています。

関連ページ:DevOpsとセキュリティの人材不足を解消する4つの方法

Kubernetes導入時の注意点

Kubernetesは非常に有用なツールですが、実現できることが多いため開発コストや運用コストがかかることも事実です。導入時には次の点を理解し、開発を進める必要があります。

● 初期投資が必要
● 継続的に学習が必要
● 利用用途の明確化が必要

初期導入時には、物理サーバーまたはクラウドサーバーが必要です。そのため、現行のシステムの構成や環境によっては新しくサーバーを用意しなくてはならず、初期投資のコストや環境構築コストがかかることがあります。

定期的にアップデートされ、機能が追加されたり、改善されたりしています。機能が追加され続けることは良い点ではありますが、学習コストが嵩む可能性が高く、定期的なアップデートにより過去の機能が使えなくなる可能性があります。

加えて、非常に高い拡張性を持っていますので、選択肢が非常に多く、利用前に用途を明確化させる必要があります。どのような運用管理を実現したいのかという点を初期段階で定めることで、効果を発揮しやすくなるはずです。

まとめ

世界ではGCP(Google Cloud Platform)やAWS(Amazon Web Services)、Microsoft Azureなどのマルチクラウドプラットフォームが利用されていますが、そのなかでKubernetesのように環境を選ばずに利用できる共通基盤は非常に有用です。

コンテナ化が標準になったことで軽量化や開発スピードの高速化が可能になりました。Dockerのようなコンテナ仮想化ツールだけでは実現できない点をKubernetesにより運用管理することで、障害に強く、利便性の高い運用が可能になります。